この本は、ベストパフォーマンスを発揮するためのあらゆる知見を集約したものとなっています。
著者は、スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクターで、同大学アスレチックトレーナーでもある山田知生さんという方です。まさにスポーツ界の最先端で活躍されている方ですね。
なぜスタンフォード大学は、学問だけでなくスポーツにおいても優れた結果を出し続けることができるのか?それの「答え」が、この本には詰まっています。
この本を読めば、科学的知見に基づいたパフォーマンスの最大化方法を知ることができると思います。
それでは、この「スタンフォード式 脳と体の強化書」について、本記事では一部内容の要約と感想を述べていきます。
「スタンフォード式 脳と体の強化書」の要約
現役金メダリスト・全米記録保持者らトップアスリート集団を支える、スタンフォード大学スポーツ医局の「パフォーマンス向上・完璧なリカバリー・メンタル強化」を実現する最新メソッドが集約されています。
例えば、脳を最適化するガイダンス、ストレスフリーにするための迷走神経コントロール、体調バロメーター「心拍変動」チェック法、動きを取り戻すメンテナンス法、心のタフさを強化するトレーニング法など、多岐に渡ります。
マインドセット理論では、自己成長するためのマインドコントロールや成長方マインドセットのコーチング方法など、とても現代的かつ科学的で学ぶべき事象が非常に多いと思います。
脳と体を強化するための実践的なエクササイズもイラストで多数掲載されています。
日本よりも「少し先」を走っているアメリカでの研究と知識を基に、この本のメソッドを実践することで、人生をより充実させる手助けになると思います。
また各論別になっていることで、実践方法が見やすいので、本が苦手な方でも手に取りやすい本となっています。
脳のシステムは自分でマネジメントできる!
人生を充実させる2つの主役をご存知でしょうか。
それは、脳に備わった報酬システムと言われる神経伝達物質です。
「ドーパミン」「セロトニン」
ドーパミンは意欲を向上させる作用があります。
私たちが目標を立て、それに向かって前進し、達成し、さらに新たな目標に向かうことができるのは、ドーパミンのおかげなのです。
もう一方のセロトニンは、人間の睡眠や食欲に大きな影響を与えます。
幸せホルモンとも言われますね。セロトニンが不足すると、気分が落ち込み、やる気が出ない、ストレスが溜まる、孤独感を抱くといった状態に陥りやすくなります。
- ドーパミン → やる気を起こす、集中力や記憶力を高める、幸福感をアップさせる、ポジティブにさせる
- セロトニン → 脳を最適な覚醒状態にさせる、平常心を保つ、自律神経を整える、顔つきや姿勢をシャキッとさせる、原因不明の不調を抑える
うまく行く人は、この2つの報酬システムの切り替えがうまくできているというのです。
うまくいっている人たちは、物事の受け止め方や行動様式が、しかるべきときにドーパミン系が働き、しかるべきときにセロトニン系が働くようになっていることが脳科学的にも説明できるようです。
つまり行動の選択によって、脳の働き方を変えていくことで、より良い人生が送れる可能性があるのです!
- ドーパミン系をオン → 成長するためのマインドセットや体力づくりを通じて、常に意欲的に前進できる心身を鍛える
- セロトニン系をオン → 疲れをとる、熟睡するなど適切な休息をとり、体のリカバリー力を強化する
自律神経は脳から脊髄、脊髄から体中に張り巡らされた巨大なネットワークであり、もともと体に組み込まれている「生命維持の仕組み」です。
自律神経には、緊張状態を作る「交感神経」と、リラックス状態を作る「副交感神経」があります。
交感神経と副交感神経がバランスよく、ふさわしいタイミングで優位に働く体は、「健康」と言えます。
- 交感神経 →「戦うか逃げるか」 緊急事態に瞬時に対応する神経
- 副交感神経 →「休んで消化するか」 ゆったりした日常的な体内機能を支配
何を感じ、どう行動するかという私たちの情動ですらも、自律神経がどう働くかによって決められているのです。
現代は、人間関係のストレス、環境のストレスなど、交感神経が優位になりっぱなしです。
つまり副交感神経を優位にする方法を知ることが脳をコントロールする上で重要なことなのです。
そこで鍵になるのは、「迷走神経」です。
迷走神経が活性化されると、副交感神経が優位になり、生活に落ち着きと静けさがもたらされます。
迷走神経の活性度を「ベーガル・トーン」と言うそうです。
このベーガル・トーンを上げることが副交感神経を優位にする有効な戦略になるというわけです。
3大条件:呼吸法の習慣、良質な睡眠を得る習慣、栄養を満たす食事習慣
(野球とかでガムを噛んでいる選手をよく見かけますが、ガムを噛む行為もベーガル・トーンを上げる方法の一つらしいです)
- 呼吸法のポイント:4秒で吸って、6秒で吐ききる
- 睡眠のポイント:早起き、朝食、朝散歩で光を浴びる
- 食事のポイント:
炭水化物は茶色っぽい炭水化物(ライ麦、玄米など)を選ぶ
神経伝達物質へと合成されるタンパク質を摂る:鶏胸肉、卵、大豆、乳製品
油の選び方:オメガ3(n-3系)アマニ油、エゴマ油、アボカド、青魚、鮭
1分間の呼吸回数を減らすことで、酸素の代謝効率が上がり、認知機能の向上にもつながるそうです。
またこの本では、IAP呼吸法と言う方法が、ベーガル・トーンを効果的に上げる方法であると推奨しております。
その方法については多種多様であり、この本にイラストとともに記載されいるので興味のある方は参照してみてください。
また、朝食を取ることは、昼食の糖質の暴食を避けるという意味で、血糖値コントロールにもつながります。
朝日を浴びることで、セロトニンの分泌が高まり、自律神経のバランスを整えることもできます。
呼吸や食事にも気を遣いながら、出来る限り、眠りを妨げる環境を排除することで、最適な睡眠を取っていきましょう。
*睡眠リテラシー(健やかな眠りこそが健康生活への道、健やかな睡眠生活!快眠するための良いこと・悪いこと)
@感想
普段の生活習慣から睡眠、食事方法、メンタル強化方法など簡単にまとめることができないほど、非常に濃厚な本でした。
さすがスタンフォード大学で最先端のスポーツ科学に携わっている方の本だと感じます。
全てを実践できれば、パーフェクトヒューマンになれそうな気がします。
特にIAP呼吸法は、健康に直結すると思いますし、マインドセットに関しては、ビジネスにも関連すると思うので、出来ることは実践していきたいと思いました。
こんな方におすすめ
・スポーツをやられている方
・新しい健康習慣を探している方
・科学書兼ビジネス書に興味ある方
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