この本は、非常に重厚な本であり、老化という人類の宿命にに対し真摯に向き合った最新の科学書となってます。
執筆者は、現在も第一線で研究し活躍されているハーバード大学医学大学院遺伝学教授のデビッド・A・シンクレアさんという方です。このデビッド・A・シンクレアさんは、「老化とは病気である」と言います。
この本では、老化という複雑なプロセスを過去から現在までの研究資料を基に紐解き、なぜ老化を病気だと、しかも最もありふれた病気だと捉えるようになったのか解説されています。
また、今あるような老化に終止符を打つために、すぐにでもできる対処法や、現在開発中のテクノロジーまでも紹介されております。
病気や体の不自由に苦しむことなく長く暮らせる世界を夢見てしまう、まるでSFのようだけれども、非常に現実的な本となっています。
まるで映画「ベンジャミン・バトン」のようなお話です。
「LIFE SPAN 老いなき世界」の要約
20世紀前半まで、生物は老いて死んでいくことが、「種」のためだとする見方が一般的でした。
しかしこれは完全な間違いであります。
この本で老化とは、エピゲノム情報の喪失である、単純に言えば、老化とは情報の喪失にほかならないと述べています。
著者はこれを「老化の情報理論」と呼んでいます。遺伝子に老化というプロブラムは設計されていないため、遺伝子の情報が喪失されない限り、DNAが私たちの老化という運命を決めることはないというのです。
そもそも老化とは、一般的に身体機能を衰えさえ、生活の質を落とすこと
人類は、テクノロジーの進歩や種々多様な薬のおかげで、死亡率を減少させてきました。しかし、残念ながら病気の罹患率はそこまで下がっていないという事実があります。
老化を病気と認め、治療するという概念をもつことにより、健康に対する私たちの見方は根底からくつがえるのです。テクノロジーは、新たな発見が人るなされるたびに、新しい可能性が生まれます。
生きられる上限の針がたとえ大きくは動かないとしても、来るべき革新の時代に健康で長く生きられるように今から準備しておきましょう。
健康寿命はどこまで延びるの? 110歳?120歳?
なぜ私たちは、老化を病気と思っていないのでしょうか?それは、すべての人間に死が訪れるため、そして、すべての人間に当てはまるがゆえに、老化が病気とは思えないのだと思います。
この本では、人はなぜ老化するのか?をテーマに下記のようなことが述べられています。
- 健康長寿に向けてすぐに取り組める方法
- 可能性を秘めた治療法
上記でも述べたように、老化とは、情報の喪失と考えられます。
少し細かく解釈すると、エピゲノムがタンパク質を作る際、指示をミスすることであり、またエピゲノムが大量に損傷されると、うまく働かなくなることによって老化に結びついていくことです。
*エピゲノム 親から子へと受け継がれる特徴のうち、DNAの文字配列そのものが関わっていないものを指します。
この情報の喪失を防ぐ方法についてみていきたいと思います。
健康長寿に向けてすぐに取り組める方法
- カロリー制限食
- 適度な運動
- アミノ酸制限
- 寒さや暑さに体をさらす
まずは、カロリー制限食です。さらに優れた方法は間欠的断食とのことです。
要するに何を食べるかではなく、どう食べるか!
そして適度な運動をしましょう。
重要なことは、多少の困難や細胞にストレスを与えることです。
そうすることで、長寿遺伝子を刺激し、エピゲノムにプラスに作用するようです。
タバコや有害な化学物質、放射線は老化を早めるためNG!!!
また、アミノ酸を制限することも重要です。
動物性タンパク質を控え、植物性タンパク質を摂取することがポイントです。植物性タンパク質は摂取効率が悪く、それが適度なストレスとなって良いのです。
さらに、寒さやと暑さに体をさらすのも体のストレスに与えることができるので良いようです。
(サウナは研究段階で不明です)
可能性を秘めた治療法(※研究段階もあり)
今考えられている未来の選択肢として、下記が挙げられています。
- 老化細胞を除去する
- レトロトランスポゾンを封じ込める
- 免疫系を活用するワクチンを使う
- 細胞のリプログラミング
また、世界では※バイオトラッキングが普及してきています。
※生き物自体に音響マーカーをつけて、その生き物がどう動くかを調べるものです。
数億人のホルモンや化学物質の量、体温や心拍数などをリアルタイムに追跡することで、人々が見張り役となって公衆衛生上の危機を未然に察知する世界が近く訪れるかもしれません。
@感想
この本には、非常に多くの人物が登場(生物学者、遺伝学者、数学者、物理学者、科学者、化学者など)し、最新知見が詰まった良書だと思いました。
「老化」という現象は、当たり前のように起こることなので、半ば諦めている部分が多いですが、未来に希望の持てる内容となっています。
本書で語られている未来が、できる限り早く訪れることをただ祈るばかりです。
自分自身でも健康寿命を意識した生活を実践していきたいですね。
「食事のカロリーを減らす」「小さいことにくよくよしない」「運動する」など、簡単なことから取り組むと良いかなと思いました。
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