この本は、食物繊維の最新の知見と食物繊維がもつパワーを網羅的に学ぶことができます。
著者は、順天堂大学医学部教授であり、「腸活」と自律神経研究の第一人者として知られる名医小林弘幸先生という方です。
先生は、この本の中で心と身体の健康を握っているのが食物繊維であると言います。免疫力をアップするだけでなく自律神経を整える効果もあり、健康生活に欠かせない栄養素なのです。この本で食物繊維に関するリテラシーを高め健康生活を送っていきましょう。
それでは、この「20歳若返る食物繊維!免疫力がアップする!健康革命」について、本記事では一部内容の要約と感想を述べていきます。
「20歳若返る食物繊維!免疫力がアップする!健康革命」の要約
厚生労働省が掲げる食物繊維の1日の摂取目標は、男性21g以上、女性18g以上としています。
ところが現状は、それぞれ15グラム程度にすぎません。もう少し意識して多く摂れば、驚くべき効果が期待できるのです。
最新の栄養学では、「水溶性」「不溶性」の分類ではなく、「発酵性」と規定される食物線維に注目が集まっています。「発酵性食物繊維」が大腸内で発酵し、「短鎖脂肪酸」を生成して全身の健康に寄与するのです。
- 免疫機能を高める
- メタボリックシンドロームを改善
- がんになりにくい身体を手に入れることができる
- 高コレステロール、高血糖、高血圧を改善
このような効能のほかに、自律神経を整える働きもあります。なぜなら、腸と脳には密接な関係があるからです。腸内環境が好転すると、「ドーパミン」や「セロトニン」という快楽物質がより正常に分泌され、自律神経がバランスよく働きます。
食物繊維を普段よりもう少しだけ多く摂取する。それが「老けない」「太らない」「がんになりにくい」身体と「イライラしない」前向きな心を獲得する方法として期待できるのです。
食物繊維のパワーをあやかり、「人生100年時代」健康で長生きしていきましょう。
第6の栄養素!食物繊維!
食物繊維のメカニズム
食物繊維の一部は、大腸に入って有益な働きをする菌のエサになります。
これまでは、善玉菌と呼んでいましたが、最新の栄養学では有用菌と呼ぶようになっています。それにならい、悪玉菌のことを有害菌と呼んでいます。
有用菌の働き↓↓
- 有害菌の増殖を抑えて、腸内環境を整える
- 腸のぜん動運動を促し、排便をスムーズにする
- 免疫力をアップして、発がん性物質を分解する
- 短鎖脂肪酸を作り出す
食物繊維は、今まで不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けていましたが、それは時代遅れです。
最新の栄養学では、このように分類しています。
- 不溶性食物繊維 便のかさを増やして腸を刺激、便秘解消
- 水溶性食物繊維 血糖値の上昇を抑制、コレステロールの増加を抑える、内臓脂肪を減らす
- 発酵性食物繊維 不溶性食物繊維の一部とほとんどの水溶性食物繊維と重なります
発酵性食物繊維がおすすめ
この中でも発酵性食物繊維が鍵となります。
発酵性食物繊維を摂ることにより、腸内細菌が酪酸、プロピオン酸、酢酸などの短鎖脂肪酸を生成し、それが腸の活動を活発にします。腸の粘膜バリアが高まり、細菌などの異物の侵入を防ぐことにより「免疫力をアップ」する仕組みになっているのです。
体内での短鎖脂肪酸の主な働き↓↓
- 免疫機能を高める
- 食欲を抑える働きや糖尿病予防
- 脂肪の吸収やコレステロール値を抑える
- 大腸がんなどのがんの予防に
- 脳機能やストレスの改善
発酵性食物繊維と摂ることで、短鎖脂肪酸が増え、腸内を弱酸性にすることができます。
有害な二次胆汁酸ができにくくなり、がんや循環器系疾患の予防にもつながるのです。
食物繊維パワー:セカンドミール効果
セカンドミール効果について聞いたことがあるでしょうか。これは、最初に摂る食事(ファーストミール)が、次に摂った食事(セカンドミール)後の血糖値にも影響を及ぼすということです。
1回目の食事に糖質が少なく食物繊維が豊富なメニューを選ぶと、食後血糖値が抑えられるだけでなく、2回目の食事でも血糖値を抑えられる効果があるというのです。
つまり、朝食でとった発酵性食物繊維を腸内細菌が餌にして、活発に短鎖脂肪酸を出すと、血糖値を下げる働きのある消化管ホルモンGLP-1が出て、次の昼食の後も血糖値の上昇を抑えてくれるということです。ちなみに朝食後の4〜5時間後に昼食を取るのがいいとのことです。
そのあと少し効果が薄れるので、おやつにペクチン豊富なドライフルーツを取ればいいようです。
毎日食物繊維を21g以上摂り続けると、こんな効果が期待できます。
- 1週間後 腸内フローラが変わってくる
- 1ヶ月後 体調の良さを実感できる
- 3ヶ月後 内臓脂肪などが減り始める
食物繊維と相性の良い食材
毎日の食事の中で重要なことは、バランスです。
食物繊維も「水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2」が理想のバランスです。
では、具体的に食物繊維が豊富な食材とはどのようなものでしょうか。
- 穀類:大麦、ライ麦、オートミール(茶色系の食材)
- 豆・大豆類:いんげん豆、小豆、大豆、きな粉
- 種実類:アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、くるみ、マカダミアナッツ
- 野菜類:パセリ、ごぼう、オクラ、ブロッコリー、ほうれんそう、ニンジン
- 果物:アボカド、グアバ、レモン、りんご、キウイフルーツ
- キノコ類:きくらげ、しいたけ、しめじ、まいたけ、えのき、エリンギ、なめこ
- 海藻類:海苔、ひじき、わかめ、昆布
- ドライフルーツ:ブルーベリー、干し柿、なつめ、いちじく
そして下記の食品は、食物繊維と相性の良い食材のため組み合わせることで効果が倍増と言われています。
- 乳酸菌:ヨーグルト
- 発酵食品:納豆、みそ、漬物、キムチなど
- 低脂質タンパク質:豆乳などの大豆製品
- 抗酸化食品:ビタミン:ミネラル類
- シリカ(ケイ素):穀物、海藻類
食物繊維とこれらの食品をバランス良く食生活に取り入れ腸活をしていきましょう。
本来なら食材から食物繊維を摂るのが一番良いですが、不足している場合はサプリメントで補っても良いでしょう。その時は、乳酸菌と食物繊維サプリメントで補うことをおすすめします。
またこの本では、食物繊維を効率的に摂取できる具体的なレシピについても豊富に記載しているので参考になると思います。
@感想
発酵性食物繊維という概念は初めて知りました。最新の栄養学では、このように分類されているのですね。腸内環境を整えることは、健康生活の基礎だと思います。その環境を整える食物繊維はやはり重要な要素になるので、意識して日々の生活に取り入れる必要があると改めて感じました。
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