【要約・感想】効かない健康食品 危ない自然・天然

この本は、健康食品に関するうんちくをまとめてくれた本です。
著者は、科学ジャーナリストで消費者団体「Food Communication Compass」を設立された松永和紀さんという方です。

この本では食に関するいくつかの項目ごとに科学的根拠をいくつも引っ張り出し解説いただいており、とても分かりやすく読みやすい本となっています。

興味の引くトピックも多く知識の整理にもなり、良いことばかりです。

それでは、この「効かない健康食品 危ない自然・天然」について、本記事では一部内容の要約と感想を述べていきます。

目次

「効かない健康食品 危ない自然・天然」の要約

食に関して、世間には間違った情報が溢れかえっています。

食の分野は昔から、ニセ情報、フェイクニュースだらけなのです。

  • 自然だから安全、体に良い
  • 人工合成だから体に悪い

もっともらしい話ですが、こうした情報は時に間違いであり、事実とイメージの間にズレが生じてしまっているのです。

ネットやSNSの普及により、内容の真偽を問わず拡散してしまうことが一つの要因かもしれません。

この本では、食に関する最新のエビデンスを軸に、健康食品や食のリスクについて分かりやすく解説いただいています。

食の問題は、簡単に判断できるものではないことが理解できるはずです。

健康食品のトリビア〜ん

抗酸化物質の摂りすぎに注意

抗酸化物質は、体内の活性酸素を除去するということは常識かもしれません。

しかし、近年では抗酸化物質は効かないどころかたくさん摂りすぎると悪影響を及ぼすというのが定説のようです。

  • β-カロテンを摂り過ぎで発がん性上昇
  • 活性酸素は、外から入ってくる異物から身を守る
  • 一部で免疫系の調整に働いている

つまり、体内の活性酸素を除去しすぎることで、外からの異物に対する異物に弱くなってしまい健康を害してしまうというロジックです。

多くの科学者が抗酸化物質のサプリメントはやめたほうが良いと警鐘しているのです。

しじみ、黒酢、ローヤルゼリーは根拠は希薄

しじみ、黒酢、ローヤルゼリーなどは滋養強壮のイメージが強い健康食品として人気です。

しかし、一つ一つの成分を調べてみると科学的根拠は薄弱なのです。

  • しじみ(オルニチン)→ 実験動物で代謝促進や疲労軽減の効果あり、という報告があるが、人での研究結果が少ない
  • 黒酢(酢酸) → 血圧を下げる、疲労回復に良いという報告は全て実験動物レベル
  • ローヤルゼリー → 蜂の元気の源だが、人に良いとは限らない、研究報告もマチマチ。アナフィラキシーショックが比較的多いので注意

健康食品の多くは、学術研究が充実おらず、正解がわからないということが実情です。

ダイエットに効く健康食品、サプリはない

ちまたにはダイエットに良いという健康食品やサプリメントが氾濫していますが、効かないどころか安全性に問題があるものが目立つのも事実です。

そもそも、日本人は痩せすぎ(特に女性)が問題ともなっており、こっちの方が重要のようです。

  • 痩せ願望ビジネスが横行している
  • 数えきれない健康食品が売られている
  • アメリカでサプリが売れているのは、肥満大国だから

多くのダイエット健康食品やサプリメントは、ほとんど科学的な根拠がないとされています。

結局は、健康的な食事で摂取カロリーを減らし、運動をして消費カロリーを増やすことがダイエットの近道なのです。

オーガニック食品の真実

オーガニック食品はとても良いイメージですが、必ずしも無農薬とは限りません。

また、科学者の見解の大勢は、農薬を使用した食品と、安全性や栄養価に違いはないというものなのです。

  • 農薬を使っても一定のルールを満たしていれば、有機JASマークを付けれる
  • 国が認めた37の農薬は使っても良いことになっている
  • 検証した結果、栄養価・安全性に差がない
  • オーガニックだから美味しいということにはならない
  • 店頭に並ぶ有機JASマーク付きのものの多くは輸入品

オーガニック食品は、一般的に高価になりがちです。結局のところどっちを選んでも良いということになり、気持ちの問題でしょう。

肉の生食は危険

日本でもユッケ事件があったように肉の生食に関して敏感な方も多いでしょう。

実際、肉の生食リスクは驚くほど高いのも現実なのです。

  • 食中毒の原因は腸管出血性大腸菌(O-157、O-111)
  • 牛の1〜2割は、腸管出血性大腸菌を腸に保有している
  • 鮮度が高いからといって安全というわけではない
  • 豚肉や内臓の生食は、深刻なE型肝炎ウイルスをもたらす
  • 鶏肉の生食は、カンピロバクター食中毒になるリスクがある

基本的に生食は、新鮮だから安全というのは間違いであり、元々の肉が保有している菌やウイルスによるようです。

ひじきと米の発がん性

今、ひじきで注目されているのは、発がん性の問題です。欧米の国々の中には、消費者に「食べないように」と助言しているところもあります。

また日本人に馴染みの深い「米」にもひじきと同じ発がん性物質が含まれています。

  • ひじきには、無機ヒ素が非常に多く含まれている(文部科学省発表)
  • 無機ヒ素は、がんのリスクを少し上げる可能性あり(毎日食べれば)
  • 米にも無機ヒ素が含まれている 
  • 世界的にも無機ヒ素の主要摂取源になっているのは、米である
  • EUでは、無機ヒ素摂取に規制がかけられている

ひじきは、時折楽しむくらいが良いでしょう。無機ヒ素は水に溶けやすいので、水戻しをしてから無機ヒ素を洗い流し食べるようにすると良いと思います。

米に関しては、「食べるとがんになる」ということがはっきり確認されているわけではありませんが、できれば摂取量を減らした方がよさそうです。特に子供には注意が必要とのことです。

アクリルアミド

天然の発がん性物質として注目を浴びているのが、アクリルアミドです。

一般的にポテトチップスやフライドポテトに多く含まれるとされていますが、原因は調理工程にあるのです。

  • 火を用いた調理(120°以上)で発がん性物質が付与される
  • 動物にアクリルアミドを投与する実験では、がんのリスクが上がることは明白
  • ポテトチップス、フライドポテトだけでなく黒糖かりんもアクリルアミドが多い

実は今、大手企業が作るポテトチップスは、アクリルアミドの低減を目指して揚げ方も控えめにしているようです。

海外から拒否される国産食品

実は、日本の食にも様々な問題を抱えており、国際的なルールに沿って製造している企業が多いわけではないのです。

なんとなく「国産は安全、輸入は危険」というイメージを持っている方が多いと思いますが、根拠はありません。

国際的には、食品の安全管理は「HACCP」による衛生管理がスタンダードとなってきています。

  • 日本は、HACCPの導入が遅れている
  • 大企業は90%、中小企業は35%、農家は0%程度の達成率
  • 海外からすると日本の食品品質が高いとはみなされない
  • これから輸出ができないという事例がたくさん出てくる

遺伝子組み換えは危ない?

遺伝子組み換え技術が実用化され20年以上経ちました。食品としての安全性や環境影響について、事前に審査を行った上で認可する仕組みが世界的に動いているようです。

しかし未だに反対運動も根強くあるのも事実です。

案外知られていないことですが、遺伝子組み換えは商用化の前に安全性試験が要求され、世界中で厳しい審査が行われています。日本でも食品安全委員会や厚労省・農水省などの設置した審議会、検討会が審査しており、問題がないと判断されたものだけが、販売や栽培等を認可されているのです。

なんなら遺伝子組み換え食品の方が安全とみなしている科学者もいるようなので、正しい知識が大事なのです。

日本人の最重要課題は減塩

日本人の食事で最も気をつけるべきは、食塩の量です。

世界で最もしょっぱいものを好きなのが日本人なのです。

  • 男性平均 10.9 g/1日
  • 女性平均 9.2 g/1日

世界保健機関(WHO)の推奨量は1日5gです。東京大学の研究チームの報告では、WHOの推奨量をクリアしているのは、人口のわずか0.06%であることが分かっています。

つまり日本人のほぼ全員が減塩に努めるべきなのです。塩分を摂り過ぎていると血圧が確実に上がり、高血圧、脳卒中、胃癌の要因にもなります。とにかく減塩はマストなのです。

ここで紹介した以外にも、水素水、ブルーベリー、コンドロイチン、DHA・EPA、トマトダイエット、酵素ドリンク、グルテンフリーブームの真相、野菜・果物の食中毒、ノロウイルス食中毒、冷蔵庫を過信するな、和食の問題、トランス脂肪酸、高齢者は少し太めが良い、死亡リスクを下げる方法、コンビニも使い方次第、健康ニュースの読み方など、興味のもてるトピックが多数あるので、是非読んでみてください。

@感想

インターネットの情報とかは、お金の色がついたものも多くて信憑性が薄いですよね。
常に科学的根拠をもとにした正しい情報をインプットする癖をつけていきたいと思います。この本はとても参考になりました。

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