近年、糖質制限ダイエットが流行っていますね。
糖質を抜くことで健康的に痩せることができ、かつそのスタイルを維持していくことができるという噂ですが、本当でしょうか。
実は、そう簡単な話ではなさそうなのです。
糖質制限とは?

一般に三大栄養素とされいるのは、炭水化物、脂質、蛋白質の3つです。
これにミネラルとビタミンという、エネルギーをきちんと燃やしていくのに必要な栄養素を含めて五大栄養素とも呼ばれます。
どれも身体に必要ですが、摂り過ぎれば、余った分は脂肪として身体に溜まってしまいます。
中でも美味しいと感じられるものは、たいてい炭水化物と脂質ですよね。
ついつい炭水化物や脂質を摂りすぎてしまうことから、「糖質制限」という概念が生まれたのかもしれません。
炭水化物には、人間が直接的にエネルギーとして利用できる部分(糖質)と、直接的にはエネルギーとして利用できない部分(食物繊維)とがあります。
糖質制限 = 炭水化物(糖質+食物繊維)の糖質部分を制限
そして糖質制限は、糖質を1食20~40g、1日70~130gに制限して、代わりにエネルギー無制限、脂質無制限、蛋白質無制限、食物繊維無制限とします。
糖質制限の理屈はこちらです。
- 糖質を多く含む食べ物を摂ると、血糖値が上昇
- 血糖値を調整するインスリンが膵臓から分泌
- 血液中の糖が筋肉や脂肪細胞へ取り込まれる
- 余分な糖が脂肪細胞に蓄えられる
糖質制限ダイエットは万能なのか?

糖質制限は、体重がガツンと落ちるダイエット法としても注目されています。
また、HDLコレステロール値を上げ、中性脂肪値を下げる効果も確認されており、一見万能のようにも思えてしまいます。
しかしメリットもありますが、デメリットもあることを覚えておくことが大切なことです。
糖質制限のエビデンスをまとめてみましょう。
メリット
- 食材が豊か(肉、魚、酒など)
- 体重が減る(月単位)
- HDLコレステロールが上がる
デメリット
- 体重が戻る、リバウンド(年単位)
- LDLコレステロールが不変
- やりすぎると死亡率が上がる
- コストが高くつく(米、パンが食べられないため)
- 筋肉が減り、基礎代謝量が低下
- 腸内環境の悪化
それから糖質制限には、ドロップアウト(脱落)がとても多いと言われています。日本では米、欧米ではパンなど、糖質を含む食品が「主食」とされ、食事のメインになっています。
これを減らすとなると、精神的にもきつくなり挫折してしまうようになってしまうのです。
加えて米やパン、麺なしであっても、1日3回の食事をするのは、食費の面でも、手間の面でもちょっと難しいような気もします。
糖質制限を徹底的に実施することは、確かに効果はあるかもしれませんが、リバウンドやドロップアウトが多いことを認識する必要があります。
糖質制限をさらに考える
糖質制限については、しっかりした研究報告があります。
2012年に国際肥満学会にて報告されています。
糖質制限を実施すると
・体重減量
・血糖改善
・脂質改善
・血圧改善
に有効という結果でした。
しかし、最近では糖質制限食が骨や筋肉を削ってしまうことも報告されていますので、メリットもデメリットもあると言えるかもしれません。
糖質制限ダイエットを全ての医師や栄養士が勧めているかと言えば、そういうわけではありません。
短期間での減量効果を認める声は多いのですが、健康上のリスク、とくに長期間続けたり、糖質を極端にセーブしたりする時の危険性が議論されています。
他にも筋肉量や脂肪が増加してしまい基礎代謝が低下するリスク、また太りやすい体質になってしまう恐れもあります。
糖質に関しては、適度に制限するレベルで良いかもしれませんね。
ちなみに糖質制限ダイエットは、腸内細菌のエサとなる炭水化物を摂らないことになるので、腸内細菌が飢えて、腸内フローラが乱れる原因になるとも言われています。
腸の機能は健康生活においても最も重要な一つです。
極端な糖質制限は、エネルギー不足になるだけでなく、腸内細菌のエサを減らすことにもつながりますので、糖質制限はゆるーいくらいがちょうど良いのです。
おすすめの食事法「間欠的断食」

健康的に痩せるには、バランスの良い食事を腹八分目で抑えつつ、適度に運動するのが基本となります。
腹八分目で抑えるのが困難な場合は、「間欠的断食」がおすすめです。
間欠的断食とは、1日の食事時間を6〜8時間以内に制限し、残りの16〜18時間は断食するというものです。
これにより、オートファジーが活性化されます。
抗酸化作用や抗炎症作用が期待でき、免疫力アップ、脂肪が分解されるなどの効果があります。
健康法は多岐に渡りますが、継続可能なのかをしっかり検討した上で、実践してみるのがいいと思います。
【参考:食楽健康協会】

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