咀嚼の効果とは?噛む動作は健康への第一歩

咀嚼とは、食べ物を噛み砕くことです。
「食事をよく噛んで食べないと太る」ということを聞いたある方もいるのではないでしょうか。実際のところ、咀嚼するメリットとはどうなのでしょうか。見ていきたいと思います。

目次

噛む回数が激減している現代人

私たちの周りには、食べやすくやわらかい食物が溢れています。
美味しいものはだいたいやわらかいという悲しき事実。

ところで、私たちは1回の食事でどのくらい噛んでいるのでしょうか。
食事一回あたりの咀嚼回数を調べたデータによると、大幅に減少しているのです。

  • 20世紀初頭 1420回
  • 現代 620回

また、噛む回数の減少は下記のような影響を及ぼしてしまいます。

  • 食べる速さが早くなる
  • アゴが小さくなり、歯並びが悪くなる
  • 唾液の分泌が少なくなり、消化吸収が悪くなる
  • 栄養を適切に取れない
  • やわらかい食べ物に偏りやすくなる

特に食べる速さは肥満につながってしまうとのデータもあり、注意が必要です。

よく噛まないと肥満になりやすい

噛む回数の減少は、食べる速さにつながります。
そして食べる速さは、肥満と大きく関係するようです。

ある調査では、食べる速さが速いと回答した人の割合は、

「やせ(BMI<18.5)」が男性35.0%、女性28.5%
「ふつう(18.5≦BMI<25)」が男性47.2%、女性36.1%
「肥満者(BMI≧25)」が男性63.9%、女性46.5%

男女ともBMIが高いほど食べる早さが速いことが分かります。
つまりよく噛まずに食事すると肥満になりやすいことは、この調査からも明らかです。

噛む回数の少ない人が肥満になりやすい理由は、

  • 満腹中枢の刺激不足
  • 食後血糖値の上昇
  • 食事誘発性熱産生の減少

が挙げられます。

満腹中枢の刺激不足とは、満腹感を感じないために食べ過ぎてしまう現象のことです。
食物を噛むと脳に刺激が伝わり、「神経ヒスタミン」という物質が分泌されます。神経ヒスタミンは満腹中枢に刺激を与え、レプチンという食欲を抑えるホルモンが分泌されます。ただ、よく噛まない人は十分なレプチンが分泌されず、満腹感がないために必要以上に食べすぎて太ることになるのです。

食後血糖値の上昇とは、同じ食事をしても、食後の血糖値がより上昇してしまう現象のことです。
同じ食事を10秒噛んで食べた場合と、30秒噛んで食べた場合を比較すると、30秒噛んで食べた場合は、食後2時間の血糖値も全体的な食後血糖値の上昇量も抑えられたというデータがあります。
食後の血糖値が高くなると、余ったブドウ糖が脂肪細胞に蓄えられます。
つまり、よく噛まない人は食後の血糖値が上昇して、脂肪がついて太ってしまうのです。

食事誘発性熱産生とは、食事をすること自体で消費されるエネルギーのことです。
そのため、吸収された栄養素は分解され、10%程度は体熱として消費されます。同じ食品を速く食べる場合とゆっくり食べる場合とで比較すると、食後90分間のエネルギー消費量は、速く食べる場合で7キロカロリー、ゆっくり食べる場合で180キロカロリーでした。
つまり、よく噛まない人は食事誘発性熱産生が少なくなり、食べたエネルギーが蓄積されて太ることになります。

よく噛んで食べるときに気をつけること

明確な基準はありませんが、一般的に良いと言われていることについてです。

  • 1口30回噛む
  • 1口30秒噛む
  • 1口量を少なくする
  • 飲み込んでから次の食べ物を入れる

よく噛んで食べるには、ゆっくり噛むことが必要です。
ゆっくり噛むことで唾液の分泌が期待できます。早食いが癖になっている人は気にしてみましょう。

肥満以外の健康効果も!

よく噛むことは、肥満予防以外にも、健康上で多くの良い効果があります。
例えば、よく噛むことによって血行が良くなり、栄養と酸素がきちんと供給され、脳が活発になると言われています。

他にもこのようなことが期待されます。

  • 脳血流増加させ、脳を活性化
  • 虫歯や歯周病の予防
  • あごや舌の運動が活発になる
  • 唾液が分泌され、消化吸収に役立つ
  • 口の感覚が刺激され、運動機能向上

このように噛むことは、どの世代の方でもその日から取り組める健康習慣です。
普段の食事で意識すれば良いだけなので、費用や手間もかかりません。

時間に追われることが多い現代ですが、ご自身の健康管理のために、日々の食事では時間をかけてよく噛むようにしましょう。

【参考:平成21年国民健康・栄養調査結果の概要、料理別咀嚼回数ガイド】

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