牛乳をたくさん飲むと骨が強くなる、健康になるという説があります。
子供の頃はよく飲まされたような気がします。それでは、牛乳について深く見ていきましょう。
牛乳に関する科学的根拠

2014年にスウェーデン人を対象とした牛乳摂取に関する研究が発表されています。(British Medical Journal 2014;349:g6015)
牛乳をたくさん飲む人は、そうでない人に比べて寿命が短く、女性では骨折が増えるというんです。
またスウェーデンでは他にも調査されています。(BMJ,2014:349:g6015)
牛乳を多く飲む人ほど、がんによる死亡率が次第に高まると報告されています。
どのような理由でがんにかかってしまうのか、明確なことは不明ですが、覚えておいてもいいかもしれません。数十年、数百年にわたり、人は牛乳と密接に関わる生活をしてきましたが、最近になりネガティブな報告が出てきていることは、転換期なのかもしれません。
牛乳をたくさん飲むと、、
- 寿命が短くなる可能性
- がんによる死亡率が増える
- 女性の骨折が増える
牛乳は健康のためでなく嗜好品として

乳製品の消費量が多い欧米などでは、乳がんがより多く発症していました。
ただ、実際に乳製品との関連が見受けられたわけではなく、本当に牛乳が健康にとって悪いかどうか分からなかったのが実情です。
ですが、上記でも述べさせていただいたように徐々に関連するデータが出てきているのです。
理屈として考えられるのは、牛乳の中に含まれる「成長因子」と「IGF-1と呼ばれる生理活性物質」です。どちらも細胞分裂をを促す作用をもつと言われています。
例えば、子牛は1日に1kgも体重が増えるらしく、これらの物質が細胞分裂を推進し、実際に成長していくようです。
そういう牛乳を人が飲むとどうなるのでしょうか。
はっきりと科学的に解明されたわけではありませんが、人の体でも細胞分裂のスイッチが入ってしまうと細胞ががん化する恐れがあり少し怖いですね。また、がんだけでなく、牛乳に含まれる飽和脂肪酸によってい動脈硬化のリスクとなる可能性がないとは言えないのです。
日本では、文明開化や戦後などの時期に、牛乳を摂りましょうというプロパガンダが展開されたと言います。カロリー不足の国民が多くいた時代には、牛乳は貴重なカロリー源だったかもしれません。
しかし現代では、ケーキなど乳製品を使った美味しいものを食べる機会もたくさんあります。
飽食と言える時代では、牛乳を飲むことはあまり勧められないのではないか、というのが最近の考え方です。
【牛乳】 健康食品 < 嗜好品
腸内環境への影響
牛乳は腸内環境への影響も懸念事項の一つです。
大きな因子として考えられているのは、下記の2つです。
乳糖不耐、カゼインアレルギー

乳糖不耐
牛乳や乳製品に含まれる糖は「乳糖(ラクトース)」と呼ばれ、小腸より産生される「ラクターゼ」という酵素により分解されます。このラクターゼという酵素が不足することを「乳糖不耐」といいますが、消化不良により下痢、腹痛、膨満感などの症状を招きます。牛乳を飲むと下痢をする人は、この乳糖不耐の症状が強く反応しているからです。
赤ちゃんの時は皆、ラクターゼを産生していますが、乳児期を過ぎるとラクターゼの産生は減少し、失われてしまいます。日本人は、乳児期を過ぎるとラクトースを消化出来ず、消化不良を起こし易いということになります。
ちなみにヨーグルトなどの発酵食品は、乳糖の一部が分解されると共に、乳酸菌により乳糖の分解を助けることから、未発酵の乳製品よりも若干症状は抑えられます。
カゼインアレルギー
牛乳に含まれるタンパク質の約80%を占めるカゼインですが、その種類は大きく分けて3種類のタンパク質に分類されます。
・α-casein(アルファカゼイン‥αs1、αs2 )
牛乳カゼインの約55%を占めています。人乳とヤギ乳には殆ど含まれていません。
・β- casein(ベータカゼイン)
牛乳カゼインの約15%を占めており、人乳に多く含まれています。
・κ- casein(カッパ―カゼイン)
牛乳カゼインの約30%を占めており、水溶性が高く、安定剤などの加工として使用されます。
この3種類のカゼインの中で人が消化できるカゼインは、主にβ-カゼインです。
α-カゼインを多く含む牛乳は、私たち人間には消化できません。
また、カゼインを頻繁に摂取すると腸内に未消化物が多くなり、腸の炎症を招きます。すると、下痢、便秘などの腸の症状を起こします。小腸の粘膜細胞は、有機物や未消化の栄養素を取り込まないように密着していますが、カゼインにより損傷、または緩んでしまうと腸に穴が開き、本来体内に入るべきでない物質が血液中に入り込んでしまいます。これを「リーキーガット症候群」と呼びます。更にα-カゼインは消化できないために、アレルゲンとなり、遅延型アレルギーの原因にもなります。
また、牛乳のカゼインから不完全に分解されるエキソルフィン(カソモルフィン)は、脳内でモルヒネのような作用をすることから、中毒症状を起こす可能性もあり、注意が必要なのです。
これらは現時点での見解ですが、覚えておいても損ではないと思いますので、今後の参考にしてみてください。
【参考:「健康に良い」はウソだらけ、ナチュラルクリニック代々木】

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