ビタミンが栄養素として大事だという認識は、多くの方がもっていることでしょう。
今回は、そのビタミンについて深く簡潔に見ていきたいと思います。
そもそもビタミンとは?

ビタミンとは、難しい言葉で言い換えると「有機化合物」というものなのです。
この有機化合物は、エネルギーや体の組織をつくるのを助けたり、生殖機能や免疫機能などの体の機能を維持する作用があります。
三大栄養素に比べて必要量は少なく、微量栄養素とも言われますが、人間にとっては必要不可欠です。
体内では合成できないか、合成できても十分な量ではないので、食べ物から摂取する必要があります。不足してしまうと欠乏症を引き起こしたりしてしまいます。
人に必要なビタミンは13種類ありその性質によって、脂溶性と水溶性に分類できます。
4つの脂溶性ビタミン

油脂に溶けるけれども水には溶けないビタミンです。油脂に溶けた状態で体内に蓄えることができますが、必要以上に摂取すると過剰症を引き起こすこともあります。
ビタミンA
- 主な働き:視覚機能を保つ、皮膚や粘膜を守る、抗酸化作用
- 含有食品例:レバー、うなぎ、ギンダラ、しそ、モロヘイヤ、にんじん
ビタミンAは動物性と植物性で吸収効率が異なります。植物性は、体内で吸収されにくく、調理法や一緒に調理する食品、食べる人の栄養状態などで吸収率が3〜96%と大きく変わるのが特徴です。油脂と調理すると吸収がよくなるので、炒め物などの油と一緒に食べることがおすすめです。
ビタミンD
- 主な働き:カルシウムとリンの吸収を促進、カルシウムの骨への沈着を助ける、血中カルシウム濃度を調整
- 含有食品例:きくらげ、いわし、すじこ、しらす、サーモン、鮭、干し椎茸、卵黄
ビタミンDは脂溶性のため、それ自体に脂質を含んでいる動物性食品からとると吸収率が上がります。ビタミンDは、紫外線に当たることで体内でもできるので、適度な日光浴もおすすめです。
ビタミンE
- 主な働き:抗酸化作用、血管拡張を促す、生殖機能を維持する
- 含有食品例:ひまわり油、アーモンド、すじこ、シーチキン、鮎、モロヘイヤ、かぼちゃ
ビタミンEとして働く成分は8種類あり、最も作用が強く、体内に存在する量が多いのはα-トコフェロールです。ビタミンEは、ビタミンAやビタミンCなどの抗酸化力の強い成分と一緒に摂取すると、ビタミンEの抗酸化力がより強くなります。
またビタミンEを含む食品は、酸化しやすいのも特徴です。酸化すると本来の抗酸化作用が発揮されなくなってしまうため、保存には中が必要です。
ビタミンK
- 主な働き:止血する物質の生成に使われる、健康な骨作りをサポート
- 含有食品例:納豆、パセリ、モロヘイヤ、ひじき、めかぶ、あしたば
ビタミンKとして働く成分は、フィロキノンとメナキノン類の2種類ですが生理作用に違いはありません。加熱しても壊れにくのが特徴なので、様々な調理法に対応できます。
また体に必要なビタミンKの量の半分くらいは、腸内細菌から生成されるので、不足することはあんまりないでしょう。
9つの水溶性ビタミン

水に溶けるビタミンです。一度に多く摂取しても必要のない分は尿中に排泄されるため、過剰症の心配はほとんどありません。ただし、体内に蓄積できできないので、毎日摂取する必要があります。
ビタミンB1
- 主な働き:糖質の代謝をサポート、神経機能を調整する
- 含有食品例:豚肉、たらこ、うなぎ、玄米、胚芽精米、加工肉
糖質をエネルギーに変えるときに使われるのがビタミンB1です。ねぎ類やにら、ニンニクに含まれるアリシンという成分は、ビタミンB1と結合すると血液中に長く留まる性質があります。
そのためこれらの食品とあわせてとると、摂取したビタミンB1が排泄されるのが抑えられ、ビタミンB1を長時間利用することができます。
ビタミンB2
- 主な働き:三大栄養素の代謝を助ける、発育を促進、過酸化脂質の分解を助ける
- 含有食品例:レバー、卵、チーズ、アーモンド、青魚、うなぎ
ほとんどの食品に含まれているので、あまり気にしなくても良いでしょう。また加熱しても壊れにくいので様々な調理で摂取することができます。
ナイアシン
- 主な働き:糖質や脂質の代謝を助ける、アルコールの分解をサポート
- 含有食品例:レバー、カツオ、マグロ、キノコ類、卵、乳製品
ビタミンB群の一種です。ナイアシンは熱や酸、アルカリ、光などに比較的強く、体内での利用率も60%ほどあります。また、ナイアシンは体内でトリプトファンから合成もできるので、タンパク質を適量とることでも補給できます。
ビタミンB6
- 主な働き:タンパク質の代謝をサポート、脳の神経機能を維持、生理機能をサポート
- 含有食品例:にんにく、ピスタチオ、レバー、鶏ささみ、マグロ
加熱や光に弱いので、生の食品が効率的です。通常の食事をしていれば、不足する心配はないと思います。
ビタミンB12
- 主な働き:赤血球の生成に不可欠、DNAの合成をサポート、末梢神経の機能維持に働く
- 含有食品例:シジミ、海苔、レバー、あさり、牡蠣、サンマ
基本的に動物性食品にしか含まないので、菜食主義者はビタミンB12不足になりがちです。またビタミンB12は、胃から分泌される内因子というタンパク質と結合して吸収されるので、胃の手術をした人も不足しがちです。このような方は、サプリメントでの補給もありです。また胎児・乳児は、ビタミンB12が不足すると発育不全や運動障害などを起こす可能性がりますので、妊娠・授乳期は多く摂るましょう。
葉酸
- 主な働き:細胞の新生をサポート、正常な造血作用を促進、動脈硬化を予防
- 含有食品例:葉野菜、果物、海藻、豆類、レバー、小魚、貝類
水に溶けやすいので、茹ででしまうと多くの割合で葉酸が減ってしまいますので調理方法は工夫しましょう。造血作用などでともに働くビタミンB12や、葉酸の働きを強くするビタミンCとともにとると、より効果が期待できます。
妊娠を希望している女性は、400μg摂取することが推奨されています。
パントテン酸
- 主な働き:コエンザイムAの構成成分、エネルギーを産生をサポート、ホルモンの合成に関与
- 含有食品例:レバー、鶏肉、魚卵、卵、キノコ類、野菜、納豆
幅広い食品に含まれているので、通常の食事をバランスよく摂っていれば不足の心配はないでしょう。
ビオチン
- 主な働き:三大栄養素の代謝をサポート、皮膚の炎症を抑える
- 含有食品例:ピーナッツ、アーモンド、納豆、レバー、卵、キノコ類
加熱しても安定しているのが特徴です。腸内細菌からもつくられるので、不足の心配はほぼありません。
ビタミンC
- 主な働き:コラーゲンの合成に関わる、メラニン色素の生成の抑制、強い抗酸化作用
- 含有食品例:野菜、果物、いも類
水に溶けやすく、熱にも弱く、酸化されやすいので、鮮度の良いものが効率的に摂取できる秘訣です。ただ、一度に多くとっても余剰分は体外に排泄されますので、毎食適量を摂取することが良いでしょう。喫煙やアルコールの摂取、ストレスでビタミンが消費されるので、当てはまるときは多く摂取しましょう。
ビタミン様物質について

ビタミンと似たような働きを持つ有機化合物を「ビタミン様物質」とよびます。
なぜビタミンに含まれないかというと、体内で合成することができ、栄養素として摂取しなくても欠乏症の心配がないからです。
ただし、十分に摂取すれば、代謝を助けたり、体の機能を正常にしたりする働きが期待できます。
- コエンザイムQ10 : エネルギー産生に関わる、抗酸化作用
- ヘスペリジン : ビタミンCの働きを助ける、毛細血管強化
- α-リポ酸 : エネルギー産生をサポート、抗酸化作用
- カルニチン : 脂質の代謝を助ける
- イノシトール : 脂質の代謝を助ける
- コリン : 脂質の代謝を助ける、高血圧や脂肪肝の予防
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