ビタミンを摂取するだけで風邪を予防できるなどということが巷で言われていました。
果たしてその情報の精度はどうなのでしょうか?見ていきたいと思います。
ビタミンと免疫力との関係

ビタミンといってもたくさんの種類があります。
いくつか例にとって関連性を見ていきたいと思います。
ビタミンC
風邪予防の効果が高いことでも知られているビタミンCは、粘膜を形成するコラーゲンの生成に関わっており、ウイルスが付着する粘膜を強化する役割を担っています。またビタミンCは、免疫を担当する白血球に多く含まれ、白血球の働きを強化したり、免疫を担当するインターフェロンの生成を助けたりする効果があります。
ビタミンD
ビタミンDは、細菌やウイルスを攻撃する抗菌ペプチドを生成します。また粘膜同士の接着力を高めるタイトジャンクションを形成する物質を産生することで、免疫力アップに効果を発揮します。
ビタミンB群
ビタミンBは、全ての細胞が活動するためのエネルギー産生に使われたり、粘膜や皮膚を強化したりします。代謝に関わるビタミンですね。
ビタミンA
ビタミンAも粘膜で分泌されるIgA抗体の原料になります。
ビタミンE
抗酸化作用があり、体の中の敵と戦ってくれます。
このようにビタミンは免疫機能と深く関わっています。そのため、風邪予防のためにビタミンを摂取するということは多くの場面で実践されています。
しかし、風邪予防とビタミンに関するメタアナリシス解析では、ビタミンが風邪予防に有効であるという証拠が必ずしも示されてきたわけではありません。
つまり、ビタミンを摂取すれば風邪を予防できるわけではない、ということです。
風邪予防のためのビタミン摂取のポイント

当然ですが摂取したビタミンは、体内に吸収されることで効果を発揮します。
口から摂取したビタミンは腸で吸収されるため、腸内の環境が整っているかどうかがビタミンの吸収を左右することになります。
意識を向ける必要があるのは、下記2点です。
- 腸内環境(腸内細菌)
- タンパク質
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌がありますが、善玉菌の活性を上げて、悪玉菌の活性が下がっている状態が、ビタミンをはじめとした栄養素を効率よく吸収するのに必要な状態です。
そしてタンパク質です。
タンパク質はたらだの組織、細胞を構成するもとになる大切な栄養素ですので、タンパク質が十分でないとせっかく吸収したビタミンを目的の細胞まで運んだり、利用したりすることはできません。
タンパク質を吸収するのにも腸内環境が大切になってきます。
ビタミン以外にも免疫の働きを高める作用があるものはたくさんあります。
脂質や亜鉛、鉄などさまざまです。
風邪予防のためにも、ビタミンを効率的に摂取するためにも、結局行き着くところは、バランスの取れた食事ということになります。
オーソモレキュラーな食事について

オーソモレキュラー栄養療法についてご存知でしょうか。
オーソモレキュラー栄養療法(orthomolecular medicine)は、我が国では「栄養療法」「分子栄養学」「分子整合栄養医学」とも称され、栄養素-適切な食事やサプリメント・点滴、糖質コントロール-を用いて、わたしたちの身体を構成する約60兆個の細胞のはたらきを向上させて、様々な病気を治す療法です。
引用:オーソモレキュラー栄養医学研究所
分子レベルで栄養不足を解消し、健康な体を手にする治療法であるオーソモレキュラー療法では、ビタミンの十分な摂取だけでなく、十分なカロリー摂取、タンパク質、脂質、糖質のコントロールなどが風邪予防に大切であることに加え、その人に合った最適な食事と栄養を考えることが重要だとされています。
例えば、糖質過多の食事をしていたり、便秘、下痢、お腹の張りを普段から自覚していたりする人は、腸内環境が悪いと考えられます。
特に飲酒をする人は、ビタミンB、ビタミンC、亜鉛が不足しがちと言われています。
つまり自分の食事や生活スタイルの中で足りない栄養素を把握し、どのように食事やサプリメントを活用すれば良いのかを知ることが大事なのです。
ちなみにサプリメントといっても性質はさまざまなので、ちゃんと確認しましょう。
たとえばビタミンDにはD2とD3がありますが、D3の方が体の中では有効に活用します。ビタミンDのサプリメントを使用するのであれば、D3を使用すると良いでしょう。
このオーソモレキュラー栄養療法をしっかりと実践する際には、血液検査や詳細な問診からどの栄養素が足りてないかを検査することもありますので、医療機関で相談してみましょう。

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